看護師の勤務先として、病院やクリニックなどの医療機関のほか、介護施設や学校なども挙げられるだろう。介護施設や保育園では、看護師として勤務するが、学校では養護教諭として働くことになる。養護教諭とは、養護施設の教員ではなく、保健室で生徒の怪我の手当てをしてくれる先生のことだ。養護教諭は公立私立を問わず小中高の各学校に配置されており、生徒の健康管理や衛生指導などの業務を担っている。ただし、養護教諭になるには、看護師の資格だけでは足りない。養護教諭の養成施設で授業を受け、所定の単位を修得して免許を取らなければならない。

もっとも、養護教諭になるルートは二通りあり、看護師は、教育系の学生のように大学や短大のほか専門学校や高校などの養成学校に2年以上通う必要がなく、文科省指定の養護教諭養成機関で1年ほど在籍して単位を取る方法が認められている。つまり、看護師は教育系の学生よりもはるかに短期間で養護教諭の免許を取得できるのだ。看護師は、患者の手当てや看病のスキルが高く、学校でも生徒たちのためにその能力を遺憾なく発揮できるだろう。実は、養護教諭への転職を考える看護師は少なくない。特に、公立学校の養護教諭は看護師よりも平均給与が高く、恵まれた待遇を享受できる。看護師の平均年収が400万円程度であるのに対して、養護教諭は700万円を超えるのだから、健康を損ねるリスクを冒して夜勤等の不規則勤務に耐えている病棟看護師には、養護教諭という仕事が魅力的に映るのも無理はないだろう。